5.DC2開発

2006年
〜4月
TTのスタッフは1人もFF経験者がいない。
このため、DC2インテグラはアペックス社市販データを元に若干サポートドライバーのフィーリングを聞いて手直ししたもので対応。
たいしてチューニングが進んだものでは無かった。

TTのスタッフは1人もFF経験者がいない。
サポートドライバーの作る挙動がタイムの出る挙動なのか、リア駆動の動きをベースに見る目を養ってきた私達にはフロントだけ引く車の「良い動き」がわかりずらかった。


以前、別メーカーさんが実験的に開発した試作ピストンがある。
TTではアベックス社のピストンだけでは飽き足らないので、何か違う味をもったピストンを入れてオリジナルダンパーを作れないかと模索していたときのモノ。
インテグラ用に試作されたそのピストンを使用し、サポートドライバーのダンパーを制作した。

その間のドライバー成績は
2004年 全日本ジムカーナ N2クラス 7位
2005年 全日本ジムカーナ N2クラス10位

本人の努力もあり、入賞までもう一息!であった。


その後サポート選手が地区戦に降りる事となりこの試作ピストンも返却してもらう。
しかし、変わりに市販ピストンで制作したダンパーはサポートドライバーに「違う」という感触をもたらせた。
「市販のピストンであの味が出ませんか?」
これがこの物語の始まりである。
2006年
5月
〜9月
それまでのジムカーナ高圧ガス式ダンパーはおそらくどのメーカーも
「初期の減衰力を極力立ち上げずに荷重移動をしやすくする」
=「初期抜き」
という方法を多用していることが多かったと思う。

しかしこのピストンの乗り味に近づけようと思うと ごくごく低速の減衰力も見逃せない仕様になる。
ほとんどノウハウの無い部分を一から設定〜制作〜測定と繰り返しデータを取らなければならなかった。
稲木亨氏の果てしない仕様変更が始まった。




「これなら雰囲気似てますね。」
とサポートドライバーに合格をもらえるまでにシーズン終了。

ドライバー&チューナーとも1シーズン フロント開発に時間がかかってしまったが、これで特殊ピストンを使用しなくても市販で乗り易いフロントができたと安堵。
2007年 しかし、そのフロントに合うリアがなかなか出来ない。

フロントとリアに違和感が出てしまうとせっかく乗り味の良いダンパーが出来てもタイムに直結しない。そうなるとせっかくできたフロント自体の仕様変更も余儀なくされる。


CR-Xのリアダンパーの開発も一進一退で、これは重さやホイールベースは違うが同じ方向性の「悪」が出ている...という見方となった。
そこで同じような減衰の立ち上げ方をサポートドライバー2名2台、個々に同時に見ていく事となった。

そのバージョン1でリアは方向性が出た。
亨氏にそれまでのデータからではなく考えを180°転換して初期減衰の立ち上げ方に特徴を作るアイデアが何種類か浮かんだ。
 
フロントが良く入り、進入車速、殺さないままにコーナーが脱出できるような仕様。


サポートドライバーはこれで乗り易いようだった。
しかし亨氏の目にはまだリアの限界がフロントに対して高いように見える。
サイドターンの入りでリアがひっかかるようにも見える。

そこでまた「そこから先」の模索を始めた。
2008年 「SW20のリア!」

トオル氏には極端なSW20のストラットダンパーを手がけたときの過程がヒントとなっていたようだ。

フロントに対して
この入力のときに=こう動く=リアの動き
という方程式とダンパーテスターでの数値の関連づけが固まりつつあり、イメージは何種類もできる。
あとは動きが理想に近づくように走ってもらってテストするのみ。


しかし....
昨年まであれだけ思い浮かばなかった仕様のイメージがあっけなくできた。
それまでやってきた数数のデータがモノを言ったようだ。

現在DC2のダンパーは
フロント22〜26Kリア5〜8Kに対応。

「フロントが入りやすく」
「コーナー進入限界も高いが脱出スピードも維持でき」
「サイドターンの低速時のみリアはスルスル動く」

というまさにジムカーナ専用仕様となりました。

「ドライバーが昨日までより上手く見える」

と言わしめるこのダンパーは、現在FFドライバーのいないTTで何故かヒット商品となっています。(笑)