3.ランサーダンパー開発
 (CP、CT9A)


2001年
〜2004年
エボZRS投入。
センターデフはあえてビスカスをチョイス。
あえて新開発のACDをチョイスしなかったので車両的には
「ホイールベースの長いエボY」
という足回りの延長上にあったようだ。

それまでにチーム員達がほとんどエボYに乗り換えておりエボYのセッティングはいろいろ方向性が見えていた。

フロント14K
リア9K
で全く違和感無し。
2006年
エボ\RS投入。

エボZRSビスカス車で得たノウハウが役に立たない事に面食らった。
とにかく重いのだ。
ブレーキは良く効く。
しかし慣性が止まり切らずコーナーインで横に向きかかる。
ちょっとしたオーバースピードが止まりきらず増長されるのだ。
フロント14K
リア9K+ヘルパースプリングでセッティング開始。

コーナリングに迷いが出るとリアのシャクリが始まった。
シャクリを嫌ってオーバーステアを誘発するのにリアの車高を上げると今度はコーナー限界が一挙に下がる。
エボZRSに比べて100Kも重い車両はこんなところでも邪魔をした。

また、フロントの車高をあげようが下げようがセンタービスカスのチョイスで全く曲がり始めが変わってしまった。
だからといってセンタービスカス固定でセッティングしていくのは臨機応変デフの差動を変更できる利点を殺してしまう。

ACDの差動を機械的に弱くした。
もう少し効きのレスポンスをマイルドにすればごまかせるか?


リアの車高をフェンダーツラまで下げた。
やっとオーバーステアが収まるも、またトラクションがアップしてシャクリ出す。
今度はACDをデチューンしてしまったためにリアのシャクリとは裏腹に車の滑り出しが早いという情けない結果に終わってしまった。

リアにヘルパーよりもバネレートが出ているテンダースプリングをいれてみた。
しかしシャクリは変わらず何故か滑り出しの改善にならない。

もう一度ヘルパーを入れプリロードをかなりかけてみた。
シャクリが減った!
コーナーインの限界も少し高くなった。


まずはここからACDに慣れること!


JAF関東ジムカーナ戦N4クラスシリーズ3位

2007年 しかしどうしてもリアにヘルパーを入れずにセッティングを出したかったトオル氏はあえてまたリアをメインスプリングのみの仕様にチャレンジした。

何故ヘルパーを入れたく無かったか....。
というのは
「違うレートのスプリングが動きに絡むために、ドライバーの求めるレスポンスが遅れるため」
という事だった。

ドライバーの求めるレスポンス....。

これほど車の特徴を殺すエゴは無い。
車は、その車の一番上手く走行できる部分...というものがあり、時にはドライバーのフィーリングレスポンスとタイムは無関係である。
感覚が車両製作と合っていれば
「ドンぴしゃ」
と大喜びできるが外れていると
「こんなにいい感じなのに何故!?」

まさに「はまる」のである。

この年のトオル氏は セッティングではまった。

JAF関東ジムカーナ戦N4クラスシリーズ3位

前年と同じシリーズ成績だったが、レスポンスを求めたランサーの動きはとてつもなく限界の低いものとなっていた。

2008年
1月
〜4月
エボ\の走行ステージは全日本ジムカーナ選手権へと移る。
カートコースがメインとなる全日本ステージではリアの限界の低さはそのままタイムロスに直結する。

リアメインスプリングだけの前提で前後ダンパーの減衰特性を立ち上げ、リアは今までのパイロンコースとはむしろ逆の発想となるぐらい縮みの減衰力をあげた。

フロントのダンパーを全体的に固め特に伸びを規制したため
コーナーの立ち上がりで車が暴れなくなった。
しかし脱出でアンダーが出易いとの事。

リアのスプリングも8K、9K、10K、12Kと試した。
8Kでは役不足、12Kではつっぱり押す。
しかしどのレートも共通点は
「リアのコーナー進入の限界が低い」事。

しかしドライバーは今までもっとトラクションの無いセッティングで乗っていたので十分限界があがったと感じるらしい。
5月 トオル氏にドライバーズフィーリングにこだわることを止めるように勧めた。
減衰だけでメインスプリング1本にトラクションを作るのは無理だ。
リアにヘルパースプリングを再び採用。

1年前にプリロードをかけたところでシャクリが減るところまではセッティングデータがあったので今度は思いっきりプリロードをかけてヘルパー自体をつぶしてもらう。

そしてリアの伸びを更に強く減衰変更する。

全く挙動が安定した。
と、同時にACD...センターデフの差動にもっとレスポンスが欲しくなり、機械的にデチューンされていたACDを元にもどした。

と、同時にドライバーはオーバースピードでコーナーに入るケースが増えてきた。

限界の一挙にあがった足が
「もっといける」
とドライバーを突っ込ませる。

乗り方を変える。

ドライバーには課題をつきつけ、あとは減衰調整と車高で現場のセッティングを合わせた。

全日本ジムカーナ第3戦菅生ハーフウェット
N4 クラスシリーズ6位!!
全日本初ポイント初入賞!!
ベテランとメーカー系サポート選手の多いこのクラスで入賞タイムで争えた!ということは大快挙である!


しかし、前日練習までに無いドライバーのアドレナリンというものも同時に垣間見た。

「前日合わせた減衰設定が試合当日は足りない...!」

勝負

の気持ちがドライバーを集中させ、車を的確に動かすようになると足の限界がまだ低い....。


6月 一挙にリアの減衰力を伸びも縮みも上げた。
その分、ヘルパーのプリロードを弱め、少し逃げ道を作る。

練習走行。
アドレナリンの出ていないトオル氏はタイムが伸び悩んでいる。オーバースピードなのがわからないのだ。

試合になるとドライビングが変わる事を前提に最初から試合仕様で練習する。
ダンパーの仕様に隙が無いのでドライバーは大変だと思う。しかし足の動き、トラクションは現在まさに全日本トップクラスの皆さんの「あの」動きに近いものとなっている。
やはりこのクラスのドライバーは全日本屈指のレベルの高さなのだ。こんなに限界の高い動きを日ごろからコントロールしているのだね!
痛感...。

さて。
6月の全日本戦はどうなることだろうか....(笑)。