2.FD3Sダンパー開発


〜2003年 この時点で3年間FDを乗り続けていた大槻氏のパイロンコースで培ったノウハウを生かしたダンパーはこの年の大槻氏を一躍スターダムにのし上げた。
2003年全日本ジムカーナN3クラス山野哲也につぐシリーズ2位!
しかし同時にGTecFDダンパーに対する試練が始まった。
2004〜2006年 「もっとライバル達は固い足でブレーキをつめてくる。もっと硬い足を乗れなければだめだ。もっと効くパットでブレーキを詰めなければダメだ。」

大槻氏は自分の希望を車に託すべく、何度もの仕様変更が始まった。
しかし、硬い方向でどんなに仕様を変えてもダンパーはコーナー進入でリアのスライドを誘い、逆に立ち上がりスピードを落としてしまった。
でも立ち上がりのアクセルにはついてくる。トラクションはかかるのだ。
そこで大槻氏はフロントのレスポンスを下げた。
フロントが入らなければピーキーなリアを押さえ込む事ができる....

答えは...
2006年全日本ジムカーナシリーズN3クラス27位 入賞は10位1回のみ...。


はまった....。

GTec仕様は売り物である。
みんなが乗って誰でもタイムの出せるものを作らなければならない。
そのために私達はお金のかかる全日本戦に出場し、多くのセッティングを学んでいるのだ。
初めからやり直そう....。

ただ、店に2台のN車両(駆動系のみチューニング可能クラス)は必要ない。


....中古でサーキット仕様のFDを買った。
SA2車両(吸排気チューニング可能クラス)にするためだ。

2007年
1月〜3月
模索のためA社の減衰力をN1ダンパーに真似てみる。

(F)14K(R)14kのスプリングにて。
回頭はいいが脱出でアンダー。バネレート負けを起こしているのか?
(F)15K(R)15kのスプリングにて。
減衰調整しつつ傾向を探るとフロントの縮みが硬すぎることがわかる。

B社の減衰力をN1ダンパーに真似てみる。
(F)14K(R)14kのスプリングにて。
寒い時期はフロントが入り易い。リアも縮みの初期が柔らかい。
(F)15K(R)15kのスプリングにて。
乗りやすくなるも、低速で路面のアンジレーションを拾う。

ダンパーは各社の仕様を例えばダンパーテスターで数字だけまねて作っても、ダンパー自体の設計...特に中のピストンの設計により全くフィーリングの違うものになる。他社を真似しても同じものはできないのだ。

まだ気温が低い時期のため、この2社から得た方向性からまずは
「もっと車を動かす」
=FD3Sのロールして曲がる特性に絞って足を作る事にした。

この後、この3ヶ月の間にフロント7仕様、リア5仕様毎回変えてのテストを行った。
4月 その3ヶ月間の経験からスプリングをフロント15Kリア16Kでしばらく固定とする。リアヘルパーも試したが、ドライバーの(稲ゆ>.<)ターンの精度が悪くなるため、ヘルパー無しでセッティングしていく事とする。

フロントは縮みを減衰初期から柔らかめに出し、伸びは立ち上がりで暴れない程度に硬さを出し、今後リアとのマッチングを見ながら変更することとする。

リアもフロントとロール量をあわせようとしたところ、セット5の縮みが柔らかすぎた。そこで縮みを硬くしたら乗りやすくはなるが、対荷重で前後の動きが激しくコーナリングに激しいアクションを伴う。これではダメダ。見た目も美しく追従したい。
5月
〜7月
ヨコハマA050新発売。

と、ともになんと今まで煮詰めてきた足のセッティングが合わなくなった。
今までのA048とは特性が異なる。
ただし、減衰力の変更で運転しやすい傾向があることがわかり、前後ともその動かし易い減衰力の範囲をメインのクリック状態で使えるように仕様変更。
それまでのA048仕様より一挙に前後とも伸びを30%柔らかくする。
8月 しかし依然、対荷重での対角線上のうごきになかなかしなやかさが出ない。
しかもこの方向で減衰を下げていくとフロントロックもしやすくなる。
頭を入れようとして柔らかくしているのに下がりすぎるとロック...。
これはフロントダンパーのせいではないな...。

この頃、ボディ補強したFD3Sは顕著に動きが変わってくる事を知る。
私の乗るFD3Sはフルパネルボンド&ウレタン補強により、面剛性に関しては隙がない上、SA2車両ピロアッパーマウントなのでより動きがダイレクトである。
以上を踏まえて、今までと違った視野が無いかとRラボラトリー(もともとはアペックスのN1ダンパーを開発した皆さんの会社)社に相談。
「とりあえずこうしたい」
というのをRラボラトリー社風に味付けるとどうなるか...。
という事で仕様変更を行った。フロントは今までよりも少し初期を硬くし、リアは全く違う観点で柔らかくなった。
大きな深いコーナーダンパーをフルストロークさせることが無いので今度は乗り易くなった。
9月 しかし大きく前荷重にし、また横にロールをかけた場合、一度横にずれると復帰しない傾向が残った。サイドターンの後のトラクションをかけるのに横に行く足を待たなければならない。
柔らかすぎるのか?
前後どちらのダンパーにに起因するのか?両方か?
10月

2008年
1月
Rラボラトリー社のダンパー仕様のいいところと今までのGTecダンパーのいいとこどりはできないか。何度も繰り返し仕様変更をしたがしっくりこない。

と思ったときに、両立できるイメージがひらめいた。
灯台元暗し。
その答えは見逃し易い小さな値としてダンパーテスターの計測値に出てていたのである。
2月 2速コーナー
3速コーナー
グリップ
スライド
サイドターン
どれも簡単にインフォメーションの伝わるダンパーが完成した。
それとともにバネレートは
フロント16K、リア18Kへのレートアップを行った。

このFDの走りは

全日本トップドライバーの方に乗っていただき
「運転しやすい。よく曲がるしトラクションがすごい。」
「この車なら全日本で勝てる気がする」
とまでお褒めをいただき

別なショップの方には
「なんだ、一体どうしたらあんな足ができるんだ?全然今までのTTさんの足とは別物だな」
と驚嘆いただき

ヨコハマのタイヤメーカーさんには
「おいおい、足が良すぎてタイヤ評価になんないぞ」

とまでからかわれる始末である。(笑)
余談 今回仕様変更した県シリーズ上位のドライバーからこんなメールをいただきました!
頑張って開発しノウハウを蓄積した冥利に尽きるというものです(^0^)。


「ダンパー、本当に素晴らしいです!FDの動きがまるで別物ですね。
昨年から今年の第二戦までずっと苦しんできたパイロンタッチの嵐と上手く回せなかったターンも一発で解消したと思います。(たぶん)
走りを外から見ていても気持ち悪い位しなやかにコーナリングしております!
本当に有難う御座いました。」

4月  この足をN車に適用するとどうなるか?
前後ともゴムアッパーマウントに変更し、走ってみたところGをかける初期の段階で横に大きくずれが起きることがわかった。
その症状さえなければ他にピロアッパーマウントからゴムアッパーマウントに変更する弊害は感じられなかった。

GTecダンパーは完成!

直ちにこの足を生かすためのN車用ゴムアッパーマウントの追及を開始した。