1.SW20開発


1997年〜1999年 大槻氏を中心にダンパーの仕様を開発。
その頃使用していたタイヤはBSのRE540S。
98年に発売されたDL98Jのグリップ力にその頃540Sは完全に押されていた。
タイヤのグリップの足りない分をダンパーで押し付けて出せないかと考え
方向性は
「押し付けてタイヤを滑らせて曲げる」
ダンパーの仕様となっていった。
ただ押し付けてもタイヤのアンダーを誘うだけなので初期の減衰は入れない。
そのため、ブレーキパットのバランスも考え直す事となり、WINMAX社にお願いしてオリジナルブレーキパットを制作(現在生産中止)。

ダンパー、パットのバランスでタイヤとのマッチングをとった。

当時のダンパーは大槻の好みを強く反映しており、コーナー安定度が強くサイドターンは初心者には難しいものとなった。
実はこれがのちのちターンレバーを作る事となったきっかけでもある。


ただし全長調整式のフロントダンパーを先駆けたおかけで、そのフロントストロークには他のメーカーにないしなやかさが生まれていた。

2000年〜
2005年
YHA048SSがセンセーショナルにデビューした。
グリップが高い。柔らかいためよれる。
この年からYHタイヤのスイッチした大槻は更にフロントダンパーのタイヤと路面との押し付けにこだわった。
その代わり、少しリアを硬くし旋回を楽にした。

その後、2002年を最後にTTスタッフからSW20の乗り手がいなくなった。

残念ながら開発はここで止まってしまっていた。
2006年夏 稲ゆ!チーム員の神奈川ジムカーナ戦の応援に富士スピードウェイに赴く。富士スピードウェイは路面のグリップが良くスピードも関東圏としてはのるほうである。

SW20が走る。
コーナーで曲がっていない。
「?」
別な車も!?
よく見ると当店仕様のSW20ダンパーを使用しているエントラントだった。
「何が起きているんだ...」
内心とんでもない冷や汗をかきながら絵に書いたようなアンダーコーナリングの後、サイドを失敗する「GTecダンパー」の皆さんをくいいるようにながめた。
全長調整式の他メーカーダンパーのSW20はそれぞれにメーカーのくせはあるものの曲りが起きている。
稲ゆ!は「それ」をみんなの腕のせいだとは思わなかった。


.....中古のSW20をチーム員から買った。
2006年
9月 
まずは神奈川戦でみた動きの現象を分析。
ダンパーの動きを横から見る。

GTec
1.加速時...フロントノーズリフト、リア水平
2.減速時...フロント水平、リアダイブ
安定するわけだ。曲りが起きない。
最後にセッティングを出した頃とは今はまたタイヤの特性もグリップも違う。WINMAX社と作っていたオリジナルパットも現在は作っていない。ブレーキタイミングでリズムを取るのも今のバランスでは困難だった。進化させずに開発が止まってしまっていたことを今更ながらに悔やんだ。


一番使われている他メーカーのダンパーの動きを見る。
1.加速時...フロントニュートラル、リアややリフト
2.減速時...フロントノーズダイブ、リアイン側リフト
常にリアの荷重を軽減しブレーキでリフト&スライドがかかるので結果ビギナーズラックは何もしなくても曲がりが起きる。


GTecの弱点利点、他メーカーさんの弱点利点を比較してマネるのは簡単。しかしもっといい動きを出せるはずだ!

ダンパーを仕様変更した。
スプリングは今まで販売してきたフロント4K、リア8Kのままセッティングを出していく事にする。
(稲ゆ!が2002年最後にSW20に乗っていたときはフロント4K、リア10Kでセッテイングしていた)
2006年
10月 
テスト1
1.加速時...フロントややリフト、リアややリフト
2.減速時...フロントダイブ、リアニュートラル

フロントの動きがリアに対して大きくスラロームでフロントがバネ負けを起こして復帰が遅い。ロール量を前後であわせなければいけないと判断。
傾向的に弱アンダー。サイドターンは引きづらいが利かないことは無い。
2006年
11月 
テスト2
減衰の傾向は変えずに前後のロールバランスだけオーバーホールであわせた。
1.加速時...フロントややリフト、リアニュートラル
2.減速時...フロントダイブ、リアニュートラル
暴れる感じ、戻りが遅い感じは解消。
傾向的に弱アンダーは同じなので今度はこちらの対策としてベース減衰力を見直すことにした。

テスト3
減衰力自体の大幅仕様変更をおこなった。テスト1と比較しフロントの初期減衰力を立ち上げた。
リアは伸びを強くする。その代わり車高を1センチ上げるとする。

乗ってみるとリアは扱いやすくなったがフロントが硬い。突っ張りが出るようになった。
フロントのリフトは感じるが減速時のダイブが減っている。
ただしもっとノーズダイブが入れば初期から曲りが起きるフィーリングがある。この時点でも2005年までバージョンの仕様よりは使い物になるという確信はある。
2006年
12月
テスト4
テスト3よりフロントの縮みを更に強くする。
話の流れからすると「逆?」と思われるかも知れないが、そこはフロント4Kという最低荷重のスプリングを使っている最大の特徴かもしれない。
リアはもっと細かく指示。縮みはテスト3の1.5倍、伸びはテスト3の倍。
フロントは抜群によくなった。
グリップベースで進入初期からフロントが入る。
リアは硬すぎた。
ノーカウンタードリフトやスラロームは自由だがサイドターンで動かない。
もう少し!


テスト5
フロントテスト4で固定。
リアブレーキングでややリフトがかかるだけで良しとするよう、伸びをテスト4の半分まで柔らかくした。そして縮みは逆に柔らかくした。
SW20のリアは重いので硬めに作る...という先入観をやめてみたのだ。

SW20はしなやかにトラクションがかかった!
コーナーはステアを向けるだけで曲り、ゆっくり出るリアはタイヤをずらすことなく縦にトラクションを与え曲がった。
ここに答えを発見したのだ。
2007年
1月2月
テスト5を若干乗り味という点で仕様変更し、チーム員のお下がりタイヤを導入。(笑)
BS55S、DL03G、YHA048にて(溝はあまり語れない...)ダンパー条件を一定にして乗り

加速
減速
コーナー
サイドターン
で傾向をみた。

そしてどのタイヤでも前後のロール量、減速時のリアリフト量が極端に変わらない減衰を調整ダイヤルで確認。
その幅の範囲が3クリックぐらいの幅しかなかったため、3クリックの内容を6クリック以上の幅を持たせて最後の仕様変更となった。
あと、BSタイヤの時だけ、加速でリアが沈み込み過ぎるのでSW20はブリヂストンユーザーが比較的多いことに配慮し、縮み減衰の加速側を若干硬くした。

この車をミドルクラス以上のSW20乗りのチーム員に試乗してもらい、全員のタイムアップとサイドターンの成功率アップを図ることができたので「新GTecバージョン」として採用するにいたった。 

2008年
4月
現在このダンパーは全日本N3トップクラスのドライバーの皆さんに
「動きを見てお褒めをいただき」
「乗ってみてお褒めをいただき」
「バネレート(フロント4K、リア8K)を聞いて驚かれる」
そんなダンパーに仕上がっています。

「ロールしながらクルマが前に出る」
「Sタイヤでもラジアルのように容易に向きが変わりターンが出来る」
どこまでいっても破綻なく意のままに走るダンパーです。


ジムカーナ以外のショートサーキットでもバネレートの変更なく(推奨フロント4Kリア8kのまま)、みなさんのタイムアップが報告されています。
(例ジムカーナN車両にて鈴鹿南正コース59秒633が報告されています)

これに甘えず、引き続きGTec仕様ドライバーの運転を見つつ、仕様のアイデアを重ねて行くつもりです。
まだまだ進化させます!